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研究者紹介 - 平井 孝好
2012年8月
平井 孝好
平井 孝好
三菱化学(株)
 四日市事業所 開発研究所 機能化学研究室
 
市場ニーズに即した新規エポキシ樹脂の開発
 
 1992年に三菱油化(株)に入社後、油化シェルエポキシ(株)(三菱油化(株)とシェル興産(株)の合弁会社)に配属となり、2000年に、ジャパンエポキシレジン(株)への社名変更、2006年には三菱化学の完全子会社化、そして2010年三菱化学(株)との合併を経て、現在は、四日市事業所 開発研究所に所属している。
 会社名や組織名は、変更となってきたが、入社以来、一貫して市場ニーズに即した新規エポキシ樹脂の開発に従事してきた。開発の方針として、「売れるもの・儲かるもの」を目指すことを、徹底して叩き込まれてきた。その為、顧客ニーズがあること、製品化を常に視野に入れること、利益率の高いものを追求することが、私の研究開発の基本姿勢となっている。
 エポキシ樹脂は、塗料、土木、複合材、電気・電子光学材料など様々な分野で使用されている。現在、私は、電気・電子光学材料用のエポキシ樹脂の開発を担当している。
 具体的な例としては、パソコンやスマートフォンに内蔵される電子部品の絶縁材として使用されるエポキシ樹脂の開発に取り組んでいる。この中の開発案件の一つとしては、最新世代用途に向けた新規高性能エポキシ樹脂の開発がある。過去、4世代に亘り、採用を獲得してきており、今回も最新世代への採用を獲得し、製品化することに成功した。
 今回採用を獲得できた主要因としては、@顧客からの高い要求特性に対し、的確かつ迅速に対応できたこと。A技術面では、従来のエポキシ樹脂では達成できなかった高耐熱性と可撓性というトレードオフの関係にある性能を、蓄積してきた基盤技術と独創的な手法を駆使し、両立させた新規三元系共重合エポキシ樹脂の開発に成功したこと。そして新たなコア技術を確立できたこと。B製造面では、MCC独自技術のエポキシ製造のノウハウを基に、新規開発品の製品化をタイムリーに、確実に実施できたこと。が挙げられる。
 市場ニーズに即した開発とは、私の経験から、顧客との信頼関係を構築した顧客密着型開発であり、同時に、研究・営業・工場が、三位一体となり事業化へのベクトルを合わせた取り組みを行うことが必須であると考えている。
 最後に、電子光学材料Gのグループマネージャーとして、世の中に貢献する価値ある製品を創出するという、難しいが、その分やりがいの大きい仕事をメンバーと共有し、実施していきたいと考えている。そして、これはグループにとってのKAITEKIの実現であり、更には、世の中のKAITEKIに貢献できることであると考えている。
 
研究者紹介 - 森 寛
2012年8月
森 寛
森 寛
三菱化学(株)
 黒崎事業所 開発研究所 機能材料開発室
 
機能商品開発
 
 入社以来20年間、シリカやシリケートなどの珪素に関わる新規材料を独自に設計し、顧客開拓を行うといった新規商品開発に携わって来た。新規商品開発は、商品企画から、材料設計、市場開拓、試作、製品化に至るまで業務が幅広く手間はかかるが、商品が市場に出れば、本人は当然、家族、職場の仲間、顧客など、人々の笑顔を見ることが出来、やりがいは大きい。
 入社当初の職務は、触媒の開発であり、探索研究、計算化学、分析化学等の分野で優れた知見を持つ先輩方との議論を通して、機能材料を設計する面白さを知った。驚くべき実力を持った専門家が現に社内におり、助言を数多く頂けたのはとても心強いものだった。一方で、触媒寿命を見極めるのは大変だった。他社に出向いて触媒を試作し、寿命評価のため、多くの仲間と半年近く昼夜連続でベンチ設備を運転した。実用化を目指すには、多様な仲間とチーム力を発揮する必要があることを学んだ。
 新規商品開発の現場に慣れたある時、探索でユニークなシリカ系材料を見つけ、自信満々で顧客へ提案したことがある。ところが提案は通らず、大小100以上の失敗を経験した。思えば、その提案は主に材料物性の説明に偏り、顧客に新機能を生かした商品の閃きを与えられなかったのだ。そこで、顧客の立場から使いやすい商品形態に加工し直して機能を提案する作戦に変更すると、途端に顧客の問い合わせが増加し、幾つかの採用に漕ぎ着けた。それは、「顧客の視点で機能を評価し、必要なら商品を見直し、鍵となる機能を商品に加え続ける粘り強さこそが、新規商品実現への道だ」と確信した瞬間だった。
 その経験を生かし、シリカガラス粉の開発では、まず製品が顧客でどう使われるかを徹底的に研究した。中間体のあるべき姿を想像して製造条件に反映させ、品質改善のシナリオを顧客に丁寧に説明して材料評価を受け入れてもらった。試作品の評価を重ねた結果採用され、顧客と製造課の両方が喜んでくれたのは嬉しかったし、技術者が直接顧客に接し信頼関係を築けば、成功の確率を自ら上げられると思った。
 現在は、LED用の樹脂材料を開発中だ。白色LEDは低消費電力のため、照明やテレビの光源に使われ始めた。今後は照明器具の性能や低コスト化の要請で、出力は上がり、近接する樹脂材料に特段の耐久性が要求される。白色LEDの明るさと寿命を改善し、低コスト化を支える新規材料を開発して、省エネの一翼を担いたいと思っている。普及には国際展開が必要なので、海外の顧客開拓に挑戦中だ。人や文化の多様性を認め、熱意をもって提案商品の価値を伝え、新商品の誕生を顧客と喜び合えたらすばらしい。
 シリカやシリケートは、実に多様な姿を持つ無機材料で、材料設計に独特な面白さがある。新材料を設計して、機能を吹き込み、顧客に驚きと喜びを与える存在になりたいと思っている。@材料技術や評価技術へのこだわりを持ち続けて専門性を磨くこと、A機能に特徴がある商品コンセプトを携えて直接顧客に働きかけ、我々の技術が鍵になる商品を見抜くこと、B顧客に喜んでもらえるまで、粘り強く商品の改善を続けること、などを通して一つでも多くの新規商品を生み出せたら最高だ。一般にはわかりにくい化学を、商品化の知恵や工夫に使えるなんて、理屈抜きに楽しいし、恵まれたとも思う。周囲にそれを伝え続け、新規商品を狙う仲間をどんどん増やしたい。
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